九州大学大学院医学研究院神経内科学教室

ACTIVITY REPORT活動報告

メディア等掲載情報・受賞報告

2023年度

・令和5年10月17日 プレスリリース / PRESS RELEASE: 17 October 2023 NEW

九州大学病院神経内科グループの研究が令和5年10月17日、プレスリリースされました。
【研究成果】
入江剛史先生が筆頭著者の、
「ダイレクトリプログラミングによりニューロンを新⽣、脳梗塞後の機能回復に成功」した研究発表です

Research conducted by the Kyushu University Hospital Neurology Group was press released on the 17th of October, 2023.
The study is a breakthrough on “Converting brain immune cells into neurons helps mice recover after stroke,” and Dr. Takeshi Irie of our department is the first author, congratulations!

プレスリリース(九州大学HP 英語版)/ Press release (Kyushu University HP English version)
https://www.kyushu-u.ac.jp/en/researches/view/270
プレスリリース(九州大学大学院医学系学府HP)/ Press release (Kyushu University Graduate School of Medicine HP)
https://www.grad.med.kyushu-u.ac.jp/research/detail/1534/
科学新聞にても取り上げられています。/ Also featured in The Science News
https://sci-news.co.jp/topics/8137/
Newsweekにも取り上げられています。/ Also featured in Newsweek
https://www.newsweek.com/breakthrough-immune-cell-transformation-restores-brain-function-after-stroke-1837876

入江剛史 / Takashi Irie

研究者の声 / Comment from researcher
本研究では、脳虚血モデルマウスにおいて、病巣に集まったミクログリアを、ダイレクトリプログラミングによってニューロンに分化させることで脳梗塞後の機能を回復できることを明らかにしました。ご指導、ご協力くださった方々に感謝申し上げます。 まだ多くの課題がありますが、今回の研究結果を臨床応用につなげていけるように取り組んでいきたいと思います。
Our study successfully restored function in model mice post-ischaemic stroke by directly reprogramming microglia accumulating in lesions to neurons. Thank you to all those who gave guidance and cooperation. Although many challenges remain ahead, I would like to work towards translating the results of this research into clinical fruition.

 

・第35回日本神経免疫学会学術集会 Young Neuroimmunologist Award 受賞

第35回日本神経免疫学会学術集会、2023.9.13-15
「Semaphorin 3Eを標的とする​新規神経障害性疼痛治療薬の開発」

吉富小都

受賞者の声
この度、本年度の神経免疫学会学術集会におきましてYoung Neuroimmunologist Awardを受賞させていただきました。今回は、これまでの学会で見つけた課題を、スライド構成・話す内容に反映して聴衆の理解度に重点を置く工夫を施し、先生方のご指導を頂きながらブラッシュアップを重ねて臨んだ結果、納得のいくプレゼンができたように思います。 また、質疑応答では、審査員の先生方から沢山のご質問・ご意見を頂き、本研究をさらに発展させるアイデアを得ることができました。 このような素晴らしい賞を頂くにあたり、熱心にご指導してくださった先生方、テクニカルスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。 本治療薬を患者様のもとに届けられるよう、より一層精進してまいりますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い致します。



・第35回日本神経免疫学会学術集会 ベストポスター賞 受賞

第35回日本神経免疫学会学術集会、2023.9.13-15
「Cx30欠損はグリア炎症を抑制することで、ALSモデルマウスの発症早期の疾患進行を緩和する 」

橋本 侑,山﨑 亮,江 千里,小早川 優子,眞﨑 勝久,松瀨 大,松下 拓也,磯部 紀子​

受賞者の声
この度はこのような賞をいただき、大変光栄に存じます。 本発表では、アストロサイトのギャップ結合蛋白であるコネキシン30の欠損が、ALSモデルマウスにおけるアストロサイトの炎症性活性化を抑制し、脊髄神経細胞の保護に働くことを報告しました。 本研究につきまして、ご指導いただいた山﨑先生をはじめ、ご協力いただいた全ての先生方に厚く御礼申し上げます。





・2023年度 日本神経学会賞(学術研究部門)受賞のご報告
 2023年6月1日

 この度、当科 山﨑 亮 准教授が日本神経学会の「2023年度日本神経学会賞 学術研究部門」を受賞しました。

 日本神経学会では、神経内科分野で大学・病院・診療所等に所属し、研究、教育、ないし実地診療に積極的に関わり、その発展・向上に寄与した方々を顕彰するため、2002年から学会賞を設けており、毎年学術大会時に表彰が行われています。学会賞には学術研究部門、診療/教育部門の二部門があり、いずれも神経学の発展にとっては極めて重要です。

 山﨑亮准教授は、2000年に九州大学医学部を卒業し神経内科に入局。2004年に九州大学大学院に入学して以後、現在まで一貫して中枢神経グリア炎症に着目して研究を続けています。

 受賞テーマは「ミクログリア・マクロファージを起点とする神経炎症が神経疾患に果たす役割の解明」です。学位論文ではカテプシンD欠損マウスのミクログリア機能異常がもたらす神経細胞死に関する基礎研究、大学院卒業後は筋萎縮性側索硬化症のミクログリア・マクロファージ機能解析を行いました。米国留学中は多発性硬化症モデルマウスにおけるミクログリア・マクロファージの個別機能解析を行い、これまで組織学的に区別困難であった両細胞の機能を明らかにし、J Exp Med誌に発表しました(Yamasaki et al., J Exp Med 2014)。帰国後も筋萎縮性側索硬化症や多発性硬化症モデルマウスにおけるグリア細胞の研究を継続し、両疾患の新たな疾患メカニズムの解明に貢献しました。

 授賞式は2023年6月1日に第64回日本神経学会学術大会(幕張メッセ)にて行われました。  今年度は診療/教育部門の受賞者がおらず、1名のみの表彰式となりました。

 受賞講演は2024年6月の第65回日本神経学会学術大会(東京国際フォーラム)において行われる予定です。

Comment from Award Winner
 この度はこのような名誉ある賞をいただき、ありがとうございました。受賞のご連絡を頂き、大変驚くとともに、磯部教授や吉良教授をはじめ、これまでご指導いただいた先生方や一緒に研究してくれた仲間や大学院生、医学部学生のみなさん、共同研究者のみなさま、実験補助をしていただいたアシスタントのみなさま、教室を支えていただいた諸先輩方、そしていつも帰りの遅い私を心身ともに支えてくれているかけがえのない家族に感謝申し上げます。
 今回の受賞テーマは、脳内グリア炎症が多くの神経疾患に共通した病態であり、これを足がかりに治療法を開発することが多くの神経難病の進行を遅らせることに繋がる可能性がある点や、中枢だけでなく末梢神経や末梢血にも着目し、従来の定説にとらわれずに病態解明に取り組んだことなどをご評価頂いたものと存じます。
 私がグリア研究を始めたのは、大学院入学時に吉良教授からミクログリアという細胞が面白いから研究してみなさいとアドバイスを受けたのがきっかけでした。それまで全く名前も知らなかった研究対象でしたが、細胞の形が面白く、見た目に魅了されました。大学院時代は、動物実験を通して新しいことにどんどんチャレンジし、できることが増えていくのが嬉しくて、無我夢中で実験を繰り返しておりました。学位を取得してからは、神経内科の研究室でSOD1マウスの研究に着手し、留学を介してさらに知識と技術を充実させ、教室の先生方と一緒に、様々な研究テーマに携わりました。教室では基礎研究だけでなく臨床研究にも従事させていただき、さまざまな立場の研究者の気持ちを知ることができました。
 研究にはアイデアと、実験・データ解析、そして発表・論文化が必要です。すべてを一人で行うことは、今の時代では不可能です。九大内外の先生方、技術者の方々と一緒に取り組んできた、その成果が、今回の受賞と考えております。改めまして、この場をお借りして皆様に感謝申し上げます。
 最後に、私が研究を進めるにおいて重要と考えていることを一つだけお伝えいたします。それは、実験結果、データを無駄にしないこと、です。実験をしていると、うまく行かず、思っていたデータが出ないことがあり、とても苦しいことがあります。しかし、実はその失敗も必ず自分にとっての経験になっているし、研究全体を少しだけですが前に進めていることに、疲れていると気が付きません。どんな失敗も無駄にせず、なにか得る、それが研究を進めるコツじゃないかと思います。たくさん実験して、たくさん失敗して、その結果をみんなで考え、なにかポジティブなものを探し出す。それが重要です。もちろん、全く何も得られないこともあります。そんなときは、周りの人を誘って飲みに行ってください。飲み会の最中、帰りに、なにかひらめいたり、気がつくこともあります。気分転換しながら、みんなでワイワイと研究をつづける、それが理想的な研究の形だと、私は思います。
 これからも、あらゆる可能性を考え、一つのことにとらわれず、いろいろな側面から神経難病の原因究明と治療法開発に取り組みたいと思います。本賞受賞に恥じぬようこれからも精進致します。この度は誠にありがとうございました。

・第64回日本神経学会学術集会にて、当科大学院生の原田雅也先生、吉富小都さんの発表演題が、一般演題優秀口演賞候補セッション(基礎部門)の演題に選出され、それぞれメイン会場での英語口演を行いました。惜しくも受賞には至りませんでしたが、両名とも素晴らしい発表でした。 NEW

第64回日本神経学会学術集会、2023.5.31-6.3
「A centrally acting connexin hemichannel blocker attenuates multiple system atrophy-cerebellar type」
原田雅也 Masaya Harada(大学院博士課程2年、久留米大学より出向中), Katsuhisa Masaki, Dai Matsuse, Hiroo Yamaguchi, Yuji Nishimura, Ezgi Ozdemir, Eizo Tanaka, Tatsunori Tanaka, Ryo Yamasaki, Hideyuki Takeuchi, Takayuki Fujii, Noriko Isobe, Jun-ichi Kira

受賞者の声
本年度の神経学会学術大会におきまして、優秀演題セッションに選出していただき、大舞台で発表できたことは、いままでにない大変貴重な経験になりました。日々の実験ならびに発表の仕方にいたるまで、ご多忙の中、ご指導いただいた先生方・テクニカルスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。今回の経験をいかして、これからさまざまな学会で発表して、さらに経験をつみんで成長していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

「Development of novel neuropathic pain treatments targeting SEMA-Plexin pathway」
吉富小都 Sato Yoshidomi(大学院修士課程2年), Takayuki Fujii, Hiroyuki Honda, Kaoru Kashu, Yukino Miyachi, Hidenori Ogata, Ryo Yamasaki, Toru Iwaki, Noriko Isobe

受賞者の声
本年度の神経学会学術大会におきまして、大変有難いことに優秀口演賞候補セッションに選出して頂き、大舞台での貴重な発表の機会を得ることができました。磯部先生、藤井先生、賀集さんをはじめ、実験計画から日々の実験、スライド作りや発表練習に至るまで、熱心に指導してくださった当教室の先生方・テクニカルスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。今大会で見つかった課題を一つ一つクリアして、成長した自分で次の大会に臨めるよう、日々精進して参りますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い致します。

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