1.臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院神経内科では、現在炎症性脱髄性疾患(多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP)など)、神経変性疾患(認知症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの運動ニューロン疾患)の患者さんを対象として、その経過に関わる生体物質を探索する「臨床研究」を行っています。

今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成34年3月31日までです。

 

2.研究の目的や意義について

神経難病の中には、神経変性疾患(認知症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、ALSなどの運動ニューロン疾患など)や炎症性脱髄性疾患(MS、NMOSD、ギラン・バレー症候群、CIDPなど)などの多くの疾患が含まれますが、いまだ原因が明らかでなく、そのため根治治療法がない状況です。治療法を開発するには、まず各疾患の病態を知ることが重要です。そこで今回、これまで九州大学病院神経内科を受診した患者様や、各種臨床試験に参加していただいた方から採取された血液や髄液検体を用いて、病態解明につながるバイオマーカー探索研究を行います。方法としては、既存のELISA法やBio-Plex法に加え、東北大学薬学部と共同研究を行い、微量な分子も比較・検出・定量可能な網羅的および定量的標的絶対プロテオミクス法を用います。

これらの方法を組み合わせて各神経疾患の特異的なバイオマーカー探索を行うとともに、今までわかっていなかったさまざまな神経難病の病態解明を目指していきます。

 

3.研究の対象者について 

九州大学病院神経内科において2000年4月1日から本研究承認日(2017年12月7日)までに炎症性脱髄性疾患(多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP)など)、神経変性疾患(認知症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの運動ニューロン疾患)およびその他の神経疾患の診断や治療・経過観察目的に血液検査や髄液検査を受けられた方、および九州大学病院/九州大学大学院医学研究院神経内科学において行われてた下記研究に参加された方(健常者含む)、計650名を対象にします。

また本研究の対象者には、いまだ病態が解明されていない顔面感覚障害で発症しALS様に運動障害、球症状が頭側から尾側へ広がるFacial onset sensory and motor neuronopathy (FOSMN症候群)患者も含みます。

 

許可番号:承認番号243-00/01/02/03

課題名:多発性硬化症における宿主因子に関する遺伝学的研究

許可期間:平成18年6月12日~平成21年4月4日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成18年6月12日~平成21年4月4日

 

許可番号:承認番号353-00

課題名:多発性硬化症における宿主因子に関する遺伝学的研究

許可期間:平成21年4月5日~平成26年4月4日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成21年4月5日~平成26年4月4日

 

許可番号:承認番号423-00/01/02

課題名:多発性硬化症における宿主因子に関する遺伝学的研究

許可期間:平成23年1月14日~平成26年4月4日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成23年1月14日~平成26年4月4日

 

許可番号:承認番号575-00/01/02/03/04/05/06/07

課題名:多発性硬化症における宿主因子に関する遺伝学的研究

許可期間:平成26年4月5日~平成33年12月25日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成26年4月5日~本研究承認日

 

許可番号:25-71/26-289/28-30/28-154

課題名:炎症性脱髄性疾患症例に対する血清および髄液抗neurofascin抗体、

抗contactin抗体測定の有用性の検討

許可期間:平成25年6月11日~平成33年3月31日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成25年6月11日~本研究承認日

 

許可番号:29-34

課題名:抗neurofascin155抗体関連ニューロパチーに関する全国臨床調査

許可期間:平成29年4月17日~平成31年3月31日

本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成29年4月17日~本研究承認日

 

4.研究の方法について

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。

〔取得する情報〕

・臨床情報:年齢、性別、臨床診断名、血清・髄液採取年月日、発症年月日、既往歴、臨床症状、臨床所見、嚥下機能評価、治療の有無および反応性、臨床経過、病理・剖検結果

・血液検査結果(白血球数、白血球分画、CRP値、血沈、蛋白、アルブミン、M蛋白の有無・種類、免疫グロブリン値、補体、抗核抗体、抗SS-A/SS-B抗体、抗ds-DNA抗体、抗アクアポリン4抗体、抗ミエリンオリゴデンドロサイトグリコプロテイン(MOG)抗体、抗NF155抗体、抗コンタクチン抗体、抗甲状腺抗体、自己抗体、甲状腺ホルモン、ビタミンB1値、ビタミンB12値、葉酸値)

・髄液検査所見(細胞数、蛋白量、オリゴクローナルバンド、ミエリンベーシック蛋白量、アルブミン値、免疫グロブリン値、サイトカイン)

・電気生理学検査所見(神経伝導検査、運動・体性感覚・視覚誘発電位検査、電流知覚閾値検査、Blink reflex、針筋電図)

・画像検査所見(頭部MRI検査、全脊髄MRI検査、MRニューログラフィー、頭部SPECT検査、全身CT検査、全身PET検査)

 

さらに、保管されている血清・髄液を用いて、Bio-Plex法、ELISA法という方法でサイトカイン・ケモカイン濃度、アミロイドβ、TDP-43、タウ、αシヌクレイン濃度を測定します。

東北大学へ研究対象者の血清・髄液を郵送にて送付し、網羅的および定量的標的絶対プロテオミクス法を用いて、検体中のたんぱく質分布の疾患ごとの違いの評価や、特定の分子の定量を行う予定です。

他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。

 

測定結果と取得した臨床情報の関係性を分析し、各神経疾患の特異的なバイオマーカー探索を行うとともに、さまざまな神経難病の病態解明につながる解析を行います。

 

5.個人情報の取扱いについて

研究対象者の血液や髄液、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。

また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。

この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野・教授・吉良 潤一の責任の下、厳重な管理を行います。

研究対象者の血清や髄液、臨床情報を東北大学へ郵送する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。

 

6.試料や情報の保管等について

〔試料について〕

この研究において得られた研究対象者の血清や髄液は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野において同分野教授・吉良 潤一の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 

〔情報について〕

この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院神経内科学分野において同分野教授・吉良 潤一の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 

また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

 

 7.研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

 

8.研究の実施体制について 

この研究は以下の体制で実施します。

 

研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野

九州大学病院神経内科

研究責任者 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野 教授 吉良 潤一
研究分担者 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野 准教授 山崎 亮

九州大学病院神経内科 診療准教授 松下 拓也

九州大学大学院医学研究院脳神経治療学分野 准教授 磯部 紀子

九州大学病院神経内科 助教 松瀬 大

九州大学病院神経内科 助教 緒方 英紀

九州大学大学院医学研究院神経内科学分野 助教 渡邉 充

九州大学病院神経内科 医員 雑賀 徹

九州大学大学院医学研究院脳神経治療学分野 助教 中村 優理

九州大学大学院医学系学府神経内科学分野 大学院生 迫田 礼子

九州大学大学院医学系学府神経内科学分野 大学院生 白石 渉

九州大学大学院医学系学府神経内科学分野 大学院生 林 史恵

 

共同研究施設

及び

試料・情報の

提供のみ行う

施設

施設名 / 研究責任者の職名・氏名 役割
①東北大学大学院薬学研究科薬物送達学/

准教授 立川 正憲 先生

プロテオミクスを用いた試料中のタンパク質の検出・解析

 

業務委託先 企業名等:

所在地:

 

 

9.相談窓口について 

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

 

事務局

(相談窓口)

担当者:九州大学大学院医学研究院神経内科学分野 助教 渡邉 充

連絡先:〔TEL〕092-642-5340

〔FAX〕092-642-5352

メールアドレス:shinkein@neuro.med.kyushu-u.ac.jp

 

 

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