Watanabe M, Masaki K, Yamasaki R, Kawanokuchi J, Takeuchi H, Matsushita T, Suzumura A, Kira JI. Th1 cells downregulate connexin 43 gap junctions in astrocytes via microglial activation. Sci Rep. 2016;6:38387.

 

私たちは以前、Baló病や視神経脊髄炎(NMO)、多発性硬化症(MS)の剖検脳の病理学的検討で、急性脱髄巣での広汎なコネキシン(Cx)43の脱落を報告した。またNMO、MSでは、病巣での広汎なCx43の脱落が、急速な疾患進行と関連していた。したがって中枢神経脱髄疾患においては、グリア細胞のCx脱落に伴うギャップジャンクション(GJ)チャネルの破綻が、病変の形成・拡大に寄与していると考えられる。さらにMSやNMOのCx43脱落巣にはリンパ球浸潤を伴うこと、MSの病態形成にT細胞が関与することから、T細胞がグリア細胞のCx発現に影響を与えるとの仮説を立てた。そこでT細胞およびT細胞関連サイトカインがCx43発現に与える影響について、マウス由来初代培養グリア細胞を用いて検証した。

結果として、Th1細胞由来のIFNγがミクログリアを活性化し、活性化ミクログリアから産生されたIL-1βを含む炎症性サイトカインがアストロサイトに作用して、Cx43発現を低下させることが示された。そのことからTh1優位の炎症反応により、グリア間の細胞間伝達が破綻し、中枢神経脱髄疾患の病巣形成・拡大につながることが示唆された(図)。

参考図:炎症性T細胞がミクログリアを介してアストロサイトのCx発現を抑制し、中枢神経系脱髄性疾患の病態を増悪させる機序(Watanabe M, et al. The relationship between Th1 cells and astrocytic connexin 43 gap junctions in multiple sclerosis. Clin Exp Neuroimmunol 2017 (in press)より引用)

 

本研究は、2016年12月8日付で、「Scientific Reports」誌に掲載された。