九州大学大学院医学研究院神経内科学教室

九州大学神経内科入局後研修プログラム

施設・所属名 九州大学病院神経内科・脳研神経内科
プログラム名 九州大学神経内科研修プログラム
受け入れ人数 1学年あたり 8名まで
研修責任者 磯部 紀子

神経内科への入局後の進路の例を具体的に示します。これらは、あくまでも一例であって、入局してから適宜考えてもらってよいです。このような進路の希望ということは当初からお伝えいただいてもいいですし、入局後に変更してもらってもかまいません。しかし基本的には、1年目には大学病院で病棟医として勤務いただくことを勧めております。病棟主治医として患者を受け持ち、神経内科診察、診断の考え方、治療、一般的な検査などを、研修を通して学びます。さらに、スタッフの外来診療に付いて、神経内科疾患の外来診療についても学びます。この間に、脳波、針筋電図、末梢神経伝導検査、各種大脳誘発電位検査、頚部エコー検査などをローテートして検査手技を学びます。筋生検や末梢神経生検なども経験します。また、年度によっては1年目に2ヵ月間、関連病院の国立病院機構大牟田病院神経内科で筋ジストロフィー病棟・神経難病病棟に勤務し、大学病院や急性期病院ではあまり経験できない筋ジストロフィー症や神経筋難病の療養について研修します。そして、入局2年目、3年目は、急性期病院・総合病院の神経内科でレジデントまたは常勤医の立場で、脳卒中をはじめとする急性期神経内科疾患の診療を主に病棟医として学びます。また、外来にも主治医・担当医として出て、神経内科外来診療についての経験を積みます。入局3年目が終了する時点で内科専門医試験に必要な研修を終了します。4年以降の進路は、本人の希望によって変わり得ると思いますが、進路や研究の分野は、当医局では基本的に本人の意思を尊重しております。質問のある方は遠慮なく医局長まで問い合わせてください。勤務先の病院の希望については、各病院の待遇・指導者・研修の状況などの資料を提供したうえで希望を聞いております。

①Research Neurologist (神経内科研究医) 標準コース・神経内科各領域専門医コース(てんかん・認知症・神経変性・神経免疫・神経生理など)

研究を志向する場合でも、神経内科初期研修を一通り経験することは大切です。臨床の教室なので、神経疾患の臨床を全く知らないで研究をするのは、好ましくなく、神経内科疾患の臨床をある程度理解したうえで研究に取り組む方が、研究の意義の理解や研究への熱意といった面でより望ましいと考えています。このため、入局1年目は、大学病院での病棟医を務めていただき、入局2、3年目は総合病院神経内科でレジデントまたは常勤医として幅広く神経内科臨床を経験します。(これらの点は、他の進路の場合も同様です)。

入局4年目以降に大学院に進学します。九大の臨床大学院(神経内科学)が多いですが、他大学の基礎医学教室に進む場合もあります。また九大の臨床大学院(神経内科学)から、希望する大学や研究所に2年間ほど出向する場合もあります。これまでに、北海道医療大学、東北大学、東京大学、国立精神・神経センター神経研究所、京都大学、大阪大学、長崎大学などに行っております。また、九州大学内の、生体防御医学研究所などへの研究室へも随時大学院生が出向しております。

研究分野としては、当教室で行なわれている研究分野には、以下のようなものがあります。神経化学(Neurochemistry)、神経生物学(Neurobiology)、神経遺伝学(Neurogenetic)、神経免疫学(Neuroimmunology)、臨床神経生理学(Clinical Neurophysiology)、脳循環代謝学など。具体的な研究課題や研究の現状については、教室のホームページの他所に詳しく書かれていますので、参考にしてください。九大神経内科では様々な分野の研究に取り組んでおり、脳研・ブレインセンターと連携したトランスレーショナルリサーチが可能です。広い分野のなかから希望する研究分野を選ぶことができます。なお、神経内科専門医試験は大学院在学中に受験し合格する場合が大部分です。学位と専門医資格と両方を大学院時代にあわせて取ることが可能です。院生の時期は、医局から非常勤医師の仕事を紹介し、生活に困らないようにしています。

4年間の大学院終了後は、本人の希望によりますが、研究を継続する場合は、大学で教員、医員、学術研究員などの立場で、臨床と研究を続け、physician scientistあるいはclinical investigatorとして活動していきます。さらに希望により海外に留学することになります。その後は、主に大学での教員を続けながら、臨床と研究をしていくことになります。大学院での研究の経験を生かして、関連病院などで臨床を中心にキャリアを重ねていくことも可能です。

②脳卒中専門神経内科医(Stroke Neurologist)コース

入局1年目は、大学病院での病棟医を務めていただきます。2年目、3年目は、主に急性期病院の神経内科でレジデントまたは常勤医の立場で、脳卒中をはじめとする神経内科救急診療について病棟医として学びます。4年目以降に、希望により国立循環器病センター内科脳血管部門(レジデントの採用試験があります)で脳卒中先般について研修(3年間)。この間に、神経内科専門医試験、脳卒中学会専門医試験を受けます。これらの専門医資格を取得し、関連病院脳卒中センター神経内科で常勤医として勤務します。これには済生会福岡総合病院、福岡市民病院、飯塚病院などがあります。このような病院では神経内科医だけで6~7名いますので、協力してレベルの高い神経内科急性期医療を実践できます。この間の臨床研究で学位を取得することも可能ですし、大学病院には大学院生、研究生、医員、教員として勤務し、脳卒中に関わる臨床・研究に従事することも可能です。さらに脳血管内外科専門医資格の取得をめざす場合は、関連病院脳卒中センター脳神経内科、あるいは小倉記念病院脳外科などに2年間ほど出向し、ステント留置、動脈瘤のコイリングなどの経験を積みます。

③総合神経内科医コース(専門医臨床)コース

入局1年目は、他のコースと同じく九大神経内科で医員の立場で病棟医業務を行います。入局2年目、3年目は、急性期病院・総合病院の神経内科でレジデントまたは常勤医の立場で、脳卒中をはじめとする急性期神経内科疾患の診療を主に病棟医として学びます。また、外来にも主治医・担当医として出て、神経内科外来診療についての経験を積みます。4年目以降は、臨床神経内科医としての勤務を継続したい場合は、できるだけ希望の関連病院で神経内科常勤医として勤務し、外来・病棟での臨床の研鑽を積みます。卒後6年をすぎると日本神経学会認定神経内科専門医試験の受験が可能になります。大学病院でさらに一定期間学びたい場合は、大学院生、研究生、医員などの立場で可能です。総合神経内科医をめざしたい場合でも、自分の希望する分野での研究を一時期行うことは可能です(総合的な臨床医になる場合でも、長い目で見ると研究の経験は、臨床の新しい論文を読んで新知見を科学的に評価して吸収する際などに有用です)。神経内科専門医となってからは、希望する関連病院の神経内科で常勤のスタッフとして勤務します。経験により医長、部長などになります。また、その後に開業して成功している同門の先輩医師もたくさんいます。

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